クッキークリッカーとビジネス


クッキークリッカー

この記事はメルマガの転載なので1週間程度のタイムラグがあります。

8月8日に公開された、
「クッキークリッカー」というフランス製のブラウザゲームが、
何故か、日本で大ウケしています。
http://orteil.dashnet.org/cookieclicker/
不思議な状況ですが、何より作者が驚いているようです。

regretful that I didn’t make the game with “a nice cute girl to bake more cookies”
I guess also yeah, our metrics are showing a huge influx of visits from Japan,
so pixiv is slowly filling up with cookie clicker art, it’s kinda weird to watch.
via Orteil

<意訳>
僕らの作ったクッキーゲームが、何故か日本から大量にアクセスされている……。
ピクシブにもどんどんイラストがアップされていて不思議だ。
こんなことなら「(日本のアニメ風)美少女」にクッキーを焼かせるべきだったよ。

画像投稿サイトのピクシブ(pixiv)には
クッキークリッカーの登場人物「お婆ちゃん」のイラストが次々と投稿され、
アフィリエイトサイトはこぞって記事をまとめ、
掲示板には1000レス超のスレッドが乱立し、
徹夜でクリックを続ける中毒者が続出しています。
これは、日本だけで起きている現象です。

単なるゲームをこのメルマガで紹介する筋合いは無いのですが、
「仕事」について、やや考えさせられるところもありましたので、
もうちょっとこのゲームについて説明してみますね。

このゲームの目的はただひとつ、「クッキーを焼く」ことです。
他には何もありません。
このゲームの報酬は「よりクッキーを焼けるようになる」ことです。
つまり、目的と手段が同じ。
このゲームの世界には、クッキー以外の価値基準がありません。
このゲームにゴールはありません。
焼いたクッキーの枚数が億・兆・京・垓のケタになっても、
延々とクッキーを焼き続けることになります。
あなたの持つパソコンの処理能力が、物理的に音を上げるまで。

要するに、狂った世界観の中で、
より効率良くクッキーを焼く作業に没頭するゲームです。
これにより、あなたは人生のいくばくかの時間を浪費します。
得るもの?何もありませんよ。

まあまあ、とりあえず始めてみましょうか。
http://orteil.dashnet.org/cookieclicker/
を開くと、ブラウザ画面の左側に、美味しそうなクッキーがあります。
このクッキーをマウスでクリックしてみます。
「+1」
これで、1枚のクッキーが焼けました。
あなたの1クリック=1枚のクッキーです。
とりあえず、15回ほどクリックしてみましょうか。カチカチカチ……

この世界の通貨もクッキーです。
あなたは手持ちのクッキー枚数に応じて、
様々なアイテムや生産設備を買うことができます。
画面の右側に「Sotre」という表示がありますね。
これらは、クッキーをより効率的に焼くためのアイテムです。
最初に買えるのは「Cursor(カーソル)」です。
文字通り、マウスのカーソル。
このカーソルを一つ購入すると、
あなたの代わりに10秒間に1回の間隔でクッキーをクリックしてくれます。
なるほど、これを買うと生産が自動化されるわけだ。
あなたは15回クリックしたので、15枚クッキーを持っています。
右側のストアから、カーソルをクリックして買ってみましょう。

カーソルを一つ買いましたか?
おめでとう!これであなたは「ビジネス」のオーナーになりました。
あなたが何もしなくても、これで10秒に1枚のペースでクッキーが生産されます。
大金持ち……いや、大クッキー持ちへの第一歩です。
この調子で、少しずつ設備を拡充していくわけです。

あなたは辛抱強くクリックを続けて、
100枚ちょっとのクッキーを手に入れました。
これで「お婆ちゃん(Grandma)」が雇用できるようになりました。
より効率良くクッキーを生産できるようになりますよ。
ぽちり。
おお。今まで空欄だったセンタースペースに、
お婆ちゃんのグラフィックが登場しました。
これで、1つのカーソルと1人のお婆ちゃんが、
あなたが寝ていても勝手にクッキーを生産してくれます。

あなたはクリックを続けながら、
クッキーを焼くための設備を次々を購入していきます。

・クッキーが採れる農場
・クッキーを生産する工場
・クッキーが産出される鉱山
・クッキー星からクッキーを搬出するためのロケット
・黄金をクッキーに「逆錬金」する研究所
・未知なる世界「クッキー宇宙」との出入口
・過去に戻り「食べられる前のクッキー」を確保するタイムマシーン
・宇宙に充満する反物質からクッキーを生成するコンデンサ

どんどん生産して、設備を拡大して、
より効率的にクッキーを焼くのです。
そうすれば、もっとクッキーが焼けますよ!

クッキーの工場を建てた頃、ふとあなたは気づきます。
それまでのあなたは、カチカチとクッキーをクリックすることで、
事業の拡大を先導していましたが、そんな行為は虚しいのです。
だって、自動生産される量が、1秒間当たり100枚以上なのだから……。
そうです、事業の拡大とともに、あなたの主な仕事は生産ではなく、
マネジメントになったのです。

今のあなたの仕事は、直接クッキーを焼くことではなく、
生産設備やアイテムの導入を判断することです。
おっと、もう一つありました。
画面に時々、「黄金のクッキー」が出現します。
これを逃さずクリックすると、様々な特典があるのです。
77秒間クッキーの生産量が7倍になったり、
現在のクッキー残高が10%増加したり、
1クリックのクッキー生産量が777倍になったりと、
それは「ビジネスチャンス」と呼ぶに相応しい。

ということで、社長のあなたの仕事は、
・予算から適切な生産設備やアイテムを選ぶ。
・ビジネスチャンスを逃さないようにブラウザを眺める。
この2つだけなのです。
暇な時にカチカチクリックするのは、どうぞご自由に。

……今現在、僕のブラウザでもクッキーが生産されています。
1秒間に、1億5765万6589枚のクッキーが生産されてます。
雇用しているお婆ちゃんは100人を超え、
農夫お婆ちゃん、炭鉱お婆ちゃん、スペースお婆ちゃんなど、
様々なお婆ちゃんが入り乱れて、クッキーを焼いています。
33台のタイムマシーンからは、秒間1400万枚、
20台の反物質コンデンサからは、秒間4400万枚のクッキーが生産されています。
それでも、100兆クッキーの生産アイテムを買うためには、
まだ幾つものブレイクスルーが必要でしょうね。

(‘-’)

日本だけで、やたらウケているこの珍妙なゲーム。
いや、ゲームというほどのゲーム性は無いのですが、
それでも、多くのユーザーを熱中させる何かがあるようです。
このゲームの世界の共通価値、クッキーを、
お金に言い換えてみたらどうだろう?
途端、哲学的な実験道具に見えてきますね。
クッキーが全ての価値観の世界も、お金が全ての価値観の世界も、
こうやって見ると変わらないです。

(‘o’)

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