ミシン修理1件2万円

世間から見たら廃品寸前かもしれない。でも本人にとっては長年の相棒。直るなら直したい。photo by duck75
最初は「値引きは馬鹿の仕事」
というタイトルにしようと思ったのです。
値引きは思考停止。自社の寿命を削っていますよ、という。
で、適当なビジネスモデルを拾っていたら、
そっちの方が面白かったので紹介します。
◆
今朝のテレビで、
ミシン修理業の70代男性が紹介されていました。
看板なし、広告なし、クチコミで日に数件の依頼。
しかし年収は600万円以上。月50万の稼ぎ。
すげーなー、と思いつつ見ていたら、なるほど納得。
修理費が1件2万円ですよ。粗利がハンパないです。
このおっちゃん(現役におじいさんとは呼びにくい、70代でも)。
電話口で型番を聞いただけで故障箇所を把握して、
必要な部品を持って行くという、超能力みたいな技量なのですが、
やっているビジネスモデルが素晴らしい。
値引きなんて全然縁のない世界でやっています。
数十年前の古いミシンなんて、二束三文の市場価値です。
ハードオフに持ち込んだところで、査定額は0円でしょう。
世間からみたら、壊れた数十年前のミシンなんて、粗大ごみでしかない。
でも、使用者本人は全く事情が違う。
長年仕事を共にしてきた相棒で、愛着がある。
修理費の2万円で新しいミシンが2台買える、なーんて問題ではない。
だから、需要のある人は電話するのです。
聞きつけた看板も無い事業者に仕事を頼む。
「ウチのミシンを助けておくれ!」
◆
僕が巡回するサイトに「らばQ」があります。
世界のおもしろニュースを扱っているサイトですが、
こんな記事がありました。
「世間に存在さえ知られてない職業の人がいたら教えて」興味深い回答いろいろ
http://labaq.com/archives/51786063.html
この記事で感心したのが、レゴブロックのピース販売業者です。
世界中に愛好者のいるレゴブロックはセット販売で、
特定のブロックを小売していません。
でも、需要があるのです。当人だけの需要が。
「作品作りのために、赤のブロックが大量に欲しい!」とかね。
この事業者はそんな需要に応えるために、
中古で買い取ったり、お店で大量にセットを仕入れることで、
ピースの小売をしているわけです。
レゴブロックの不要な1ピースは、家庭に転がっています。
でも、その1ピースこそに、お金を出してでも欲しい人がいる。
古本のせどりと同じですね。価値の再分配で収益を得ています。
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今回紹介した2つのビジネスモデル。
元手として、箱モノを建てるような資金が必要?ノー。
銀行融資に腐心する必要がある?ノー。
彼らは需要に応えている。その仕事に感謝する人がいる。
値引き販売に血道を上げて、消耗する事業者は勝手にすればいいですよ。
言いたいことはありますが、批判するのもアホらしくなります。
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